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morinori_ujigawamodel (10)
-商品名
宇治川モデル(佐々木&梶原)黒・白
-ブランド
盛
-販売
nuno.MORINORI(2022)
-デザインについて
平家物語:巻第九 宇治川先陣(うじがわのせんじん)
ここに平等院の丑寅、橘の小島が崎より武者二騎ひっかけひっかけ出できたり。一騎は梶原源太景季、一騎は佐々木四郎高綱なり。人目には何とも見えざりけれども、内々先に心をかけければ、梶原は佐々木に一段ばかりぞすすんだる。佐々木「いかに梶原殿、この河は西国一の大河ぞや。腹帯の伸びて見えそうは、しめ給え。」と言いければ、梶原さもあるらんとや思いけん、手綱を馬のゆがみにすて、左右の鐙を踏みすかし、腹帯をといてぞしめたりける。佐々木その間にそこをつっとはせぬいて、河へざぶとぞうちいれたる。梶原たばかられんとや思いけん、やがて続いてうちいれたり。梶原「いかに佐々木殿、高名しょうとて不覚し給うな、水の底には大綱あるらん、こころえ給え」と言いければ、佐々木げにもとや思いけん、太刀を抜いて馬の足にかかりける大綱どもをふつふつとうちきりうちきり、宇治川はやしといえども、いけずきという世一の馬には乗ったりけり、一文字にざっとわたいて、向かいの岸にぞ着きにける。梶原が乗ったりけるするすみは川中よりのためがたにおしなされて、はるかの下よりうちあげたり。
詞:ここにびょうどういんのうしとら、たちばなのこじまがさきよりむしゃにき、ひいかけひいっかけいできたる。いっきはかじわらげんたかげすえ、いっきはささきしろうたかつななり、ひとめにはなにともみえざりけれども、ないないさきにこころをかけければ、かじわらはささきにいたんばかりぞすすんだる。ささき、いかにかじわらどのこのかわはさいごくいちのだいがぞや、はるびののびてみえそうはしめたまえといいければ、かじわら、さもあるらんとやおもいけん。たずなをうまのゆがみにすて、そおのあぶみをふみすかし、はるびをといてぞしめたりける。ささきそのまにそこをつううっとはせぬいてかわへざぶとぞうちいれたる。かじわらたばかられんとやおもいけんやがてつづいてうちいれたり。かじわら、いかにささきどのこおみょうしょおとてふかくしたもうな、みずのそこにはおおずなあるらん、こころえたまえといいければ、ささき、げにもとやおもいけんたちをぬいてうまのあしにかかりけるおおづなどもをふつふつと、うちきりうちきり、うじがわはやしといえどもいけづきというよいちのうまにはのったりけり、いちもんじに、さっとわたいてむかいのきしにぞつきにける。かじわらがのったりけるするすみは、かわなかよりのためがたにおしなされて、はるかのしもよりうちあげたり。
※数種類の平家物語と平曲(平家物語を語り琵琶で伴奏するもの)を参考にしています。表現に多少の誤差がありますので何卒ご了承ください。
-制作エピソード(盛典)
今回デザインした宇治川(佐々木&梶原)モデルは、宇治川先陣の中でも躍動感あふれる場面。平曲(平家物語を語り、琵琶で伴奏するもの)では、“拾”と呼ばれる曲節で描かれています。拾は平家物語の中でも戦闘の場面など勇壮活発な表現にピッタリな節回しとリズムで、声に出すとこちら側のテンションも活発に!
師の声と琵琶を聞きながら「キタキター梶原ああ!佐々木いい!!カッコいいい」と発狂し、「ああー佐々木憎たらしいなあ」「わあああ!佐々木行っちゃうよ梶原早く気付いてー!」と脳内で広がるイメージを楽しみながら稽古をしていました。特に川へざぶと飛び込んだ後の梶原が、たばかられんとやおもいけんと言う”おもいけん”の”ん”は口を閉じて声を出すので自分自身も梶原気分です。もう、この野郎佐々木!
さて、宇治川先陣は新型コロナウイルス感染症が流行する前に学んだ曲です。様々な場所や繋がりが遮断される中、自室で師の音を繰り返し聞いて声に出していました。もっと息を吐きたい、もっと大きく声を出したい、もっともっと。やり場のない悲しみや閉塞感を感じていたのを覚えています。
まだ何も歌う(語る)ことはできませんが、平曲を学ぶことがとにかく楽しい。平曲の楽しさもそうですが自己研鑽の大切さに気付かせてくれた師がいなければ、私は盛のデザインを手掛けることはありませんでした。古典に携わることも、携わっている方の何かのお役に立ちたいと思うこともなかったかもしれません。学びながら、様々なかたちで表現しながら、もっと師と一緒に平家物語を旅したい。そう強く思っています。
DESIGNER:MORINORI(盛典)